OODAループのスプラトゥーンへの適用
OODAループは、米空軍ジョン・R・ボイド大佐によって提唱された意思決定のためのフレームワークである。
本記事では、スプラトゥーンにおけるOODAループ適用のための解釈案を提示する。
Observe「観察」
五感を駆使して状況の展開を見る。
スプラトゥーンでは主に視覚と聴覚から得られる情報が意思決定の基となる。
以下個人が観察できる情報まとめ(書き漏れがあり次第更新)
通常のマップから見える情報
- 味方・敵のブキ構成
- オブジェクトのカウント
- オブジェクトの位置
- 上部アイコンによる味方・敵の生存状況、スペシャルたまり具合
- 視認できる敵の位置(ポイセン、マルミサ、リベンジ、サーマルインク等含む)
- 視認できる塗り状況
- 自分のスペシャルゲージ
- 自軍のスペシャル使用状況
マップから見える情報
- 塗り状況(初動であれば相手の攻め方がある程度把握できる)
- オブジェクトの位置
- ダメージやビーコンで反映されるマップ上の敵アイコン及び戦闘状況
- メインギア構成
サウンドプレイによる情報
- 射撃音・爆風音
- 潜伏音
Orient「情勢判断」
この段階では、Observe「観察」により取得した新しい情報と自身が蓄積してきた資質・経験や伝統を分析・総合して戦略を考案する。
ボイド大佐は、状況が絶えず変化し続ける戦況の中で、いかに敵より素早く情勢判断と意思決定を行うかが勝敗を決するとして、Orientを「Big O」と呼び重視している。
Orientは次の5つの要素から成る。
Cultural Traditon「文化・伝統」
スプラトゥーンに置き換えれば、環境という言葉が当てはまると思う。
現在のブキ環境の把握はtiermaker等で有志がまとめているので適宜確認する。Previous Experiences「従来の経験」
プレイヤー個人が蓄積したプレイによる経験
ikaWidgetやikaStatを用いた過去の対戦データの蓄積
YoutubeやOpenrecの動画・配信の視聴
その他twitterや攻略記事等による情報など。New Information「新しい情報」
Observe「観察」によって取得された今現在の戦況情報。Genetic Heritage「遺伝的資産(資質)」
反射神経、集中力、前作や他のFPS、TPSの経験などが含まれるかもしれない。
筆者はスプラ2の経験しかない。Analysis & Synthesis「分析・総合」
上記4つの要素を以って情勢判断をするプロセス。
分析は物事を要素に分解するプロセスであるため、総合のインプットに留まる。
総合は、個別の状況のなかでの現象を一貫したイメージに統合しなければならない。
Decision「意思決定」
Orient「情勢判断」段階で解釈された情勢・情報をもとに、行動として具体化するための手段・方法を選択するプロセス。
Action「行動(検証)」
Decision「意思決定」で選択した方針に基づいて、行動するプロセス。
Actionによって得られた結果は新たなObserve「観察」情報となり、次のOrinet⇨Decision⇨Actionへ繋がっていく。
このループを素早く繰り返すことが勝利・成果の獲得に繋がる。
観察から行動に移す速度の重要性
OODAモデルはボイド大佐の朝鮮戦争における直接体験に基づいて考案されたものである。
朝鮮戦争の空中戦は、主としてアメリカのF-86セイバージェットとソ連のMiG-15の間で行われた。
MiG-15は旋回性能や運動力においてF-86に勝っていたが、撃墜率(キルレ)では10:1でF-86が圧倒していた(4:1であるとの諸説あり)。
ボイド大佐は、勝利の要因はパイロットの意思決定のスピードの差にあったと結論付けた。
F-86はコクピットにて360°の視界が確保され、MiG-15に比べて操縦桿の操作が容易であった。
これによりアメリカ軍パイロットはソ連軍より速く行動に移すことができた。
このように観察から行動へ移す速度が勝利に結びついたのである。
参考文献紹介
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赤スパは兵站
スプラトゥーンでは各プレイヤーが持つ役割について「前衛・中衛・後衛」と呼称される。
前衛は索敵や攻撃、先導のような最前線での役割を担い、後衛は敵の奇襲から主力部隊の安全を確保する警戒部隊である。
前衛・後衛は文字通り前と後ろを衛るという文字の組み合わせであり、軍隊やスポーツでもよく目にするのでイメージしやすい。
赤スパは中衛?
「赤スパは後衛」
「赤スパは後衛wwwスパッタリーは前衛だろ」
「いや赤スパはサブスペの組み合わせ的に中衛」
赤スパのポジションについては度々上記のような論争が起きる。
(赤スパは後衛発言については某プロチームのストラテジスト氏が述べたと言われているが真偽は不明)
筆者は、相手の行動に制限をかけて戦う青スパやトーピードによる索敵・爆風と合わせて暴れまわるスパクリと比べて、対面での戦闘力が落ちてしまう赤スパは最前線を張るには少し難しく、後衛と称するには射程面で厳しいと言わざるを得ないので、前衛でも後衛でもないポジションである中衛という呼称が暫定的には正しいと考える。
しかし、同じく中衛武器と言われるスプラスピナーやプライムシューター、デュアルスイーパーのように前衛をカバーしつつ戦う動きにも向いていないので、中衛ポジションにも赤スパの居場所はないように見える。
兵站というポジション
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17-18世紀のスイス出身の軍人であり、軍事学者であるアントワーヌ=アンリ・ジョミニは、「兵站術」について「軍隊を動かす実際的方法」と定義しているが、彼はその定義の下に「補給隊を連続して到着させるように準備をなすこと」及び「補給線を確立し維持すること」を包含せしめている。
スプラトゥーン2において兵站は「塗り」「ジャンプビーコン」「インクアーマー」の3要素によって定義されると筆者は考える。
「塗り」はプレイヤーの移動・インク補給に強く影響するため、塗りが得意であればあるほど「軍隊を動かす」「補給線を確立し維持する」兵站の役割がこなせる。
「ジャンプビーコン」は自身及び味方プレイヤーを戦線に素早く復帰させることができるため、「補給隊を連続して到着させるよう準備をなす」「補給線を確立し維持する」兵站の役割がこなせる。
「インクアーマー」は対面強化の鎧を提供するので補給そのものであり、兵站術をこなせる唯一無二のスペシャルである。
ジャンプビーコンとインクアーマーを併せ持つブキは存在しないため、兵站ブキと呼べるのは
- 塗りの強さ
- サブがジャンプビーコン
- スペシャルがインクアーマー
の3要素のうち2つを併せ持つブキであるとの定義に到達する。
赤スパは兵站
スパッタリー種は射撃による塗りの強さは5.0.0のアップデートにより上方修正され並程度になった。
それに加えてキューバンボムピッチャーによる広範囲の強力な塗りの強さ+スペシャル必要ポイント170による回転率の高さにより強力な盤面調整能力を保有している。よって塗りの強いブキであるといえる。
また赤スパはサブにジャンプビーコンを持っているため、補給線の確立と維持が可能である。
上記をふまえると、赤スパは兵站であるといえる。
○○は兵站
以下のブキは兵站に必要な2つの要素を持っているので全て兵站ブキであると考える。
- クーゲルシュライバー・ヒュー
- スパッタリー
- ボールドマーカーネオ
- キャンピングシェルター
- わかばシューター
- N-ZAP85
- ダイナモローラーテスラ
- パーマネント・パブロ
- スクイックリンα(メイン性能積み)
- H3リールガンD
あまり使ったことのないブキもあるので塗りの強さに関しては基準が適当
スプラ機動論
10月になりましたね。
本記事ではブキの機動性の考察から、スプラトゥーンにおける機動って何なの?というところを書いていこうと思います。
ブキスペック「機動性」って何?
人速説
スプラトゥーンのブキの中に、「機動性」の説明がなされているブキが複数種類存在している。
例えばスプラスピナーの機動性は90/100とされ、ブキの中では最高の機動性を誇る。
同じスピナー系統のハイドラントの機動性は20/100、バレルスピナーは50/100なので、スピナー種だけに注目すれば人速の乗りが関係してるのではないかと考えられる。
対面性能説
スプラスピナーと同等の90/100の機動性をもつとされているブキにクアッドホッパーがある。
先ほどのスピナー種の考察をもとに人速の乗りの高さをみると、非射撃時の人速は0.96、射撃時は0.72とある。
同じマニューバー種のスパッタリーの機動性は80/100だが、スパッタリーの非射撃時の人速は1.04、射撃時は0.8となり人速の乗りはこちらのほうが高い。
マニューバー種まで考慮すると、「機動性=人速の乗り」という見方は誤りであると判断できる。
別の観点として、基礎的なステータスの乗りだけではなく、スライド回数や射程も考慮した対面性能の強さの指標ではないか?
イカ研が適当に書いた説
14式竹筒銃の機動性は80/100。
ソイチューバーの機動性は70/100。
スクイックリンの機動性は60/100。
スプラチャージャーの機動性は40/100。
チャージ時間、射撃フレームなど考慮すると上記の対面性能説と整合性が取れない。
機動性の説明があるのはスピナー・マニューバー・チャージャー系統に限られている。
他の系統では、シューター・ブラスターには「連射」、スロッシャー・フデ・ローラーには「軽さ」、シェルターには「耐久」の項目が割り当てられている。
機動性を移動速度や対面性能と捉えるならば、「機動性項目を割り当てられていないブキ=機動性に欠ける」ということは考えにくい。
特にパブロの移動や雷神ステップボールドマーカーの俊敏性は群を抜いており、より機動的な立ち回りが可能であると思われる。
結局、機動性とは一体何かという問いに、筆者はゲーム内から筋の通る結論を導くことはできなかった。
次節では軍事学の観点から考察を加えていく。
軍事学から導く機動性
戦いの原則
1920年代に英陸軍J・F・C・ミラー少将が体系化し、今日では米陸軍の教範に受け継がれている戦いの原則について紹介する。
* Objective(目標)
* Offensive(攻勢)
* Mass(集中)
* Economy of Force(兵力の節用)
* manuever(機動)
* Unity of Command(指揮の統一)
* Security(警戒)
* Surprise(奇襲)
* Simpricity(簡明)
機動の概念が発明されてから100年、機動は今なお軍事学上重要なファクターとして位置付けられている。
この原則における機動とは何を指すのか?
戦闘力を柔軟に運用し、敵を不利な立場に置け
狭義では、「機動とは、作戦または先頭において、敵に対して有利な体制をとるために部隊が移動すること」とされているが、戦いの原則では精神面の柔軟性まで言及している。
これは、攻勢第一主義や銃剣白兵突撃(スプラにおける沼凸)に対立する考え方で、持てる戦闘力の全てを目的・目標を達成するために注ぎ込めという思想である。
戦闘力は以下の8つの要素で成り立つとされる。
* 移動
* 作戦情報
* 火力
* 戦闘力維持
* ミッションコマンド
* 防護
* リーダーシップ
* インフォメーション
機動には戦闘力を攻勢する8要素全てのダイナミックかつ柔軟な適用が含まれる。
機動には柔軟な思考、柔軟な計画及び柔軟な作戦を要求される。
スプラトゥーンにおける機動の概念を再構築する
戦いの原則における機動を参照すると、ゲーム内表記における「機動性」パラメータは的を得ないものであることが伺える。
スプラトゥーンの機動性はブキパワーだけによって担保されるものではなく、プレイヤーの精神性や熟練度に及ぶものであると考えられる。
機動の概念を再構築するために、戦闘力の8つの要素について1項目ずつゲーム内容に照らし合わせて分解し、これらを柔軟に活用するとはどういうことなのかを理解する必要がある。
機動なんてなくても勝てればええんちゃうの?
それについての答えは、考察していくうちに導けるといいかなと思ってる。
でも自分は機動力のある戦い方(生き方)が好きなので、スプラトゥーンを通して、思想をまとめていきたい。
また次回へ。
参考文献
戦術の本質 戦いには不変の原理・原則がある (サイエンス・アイ新書)
- 作者: 木元寛明
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2017/04/15
- メディア: 新書
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ブキの選択に関する雑感と、スプラを遊び続けること
ブキの選択について
メインブキとして使用していくにあたって以下の原則を設定している。
* 使っていて楽しい、爽快感がある(使用感)
* 撃ち負けた時、また試合に負けた時のストレスが少ない(愛着)
* 使い込んでいけばいくほどゲームの深さに気づける(学び)
この原則はスプラトゥーンのブキ選びに限らず、他のゲームでの使用キャラや、実生活で何かを探求する際にも応用できる考え方だと思う。
使用感とは何か
適切な言葉が見つからないため、現時点では使用感という言葉を当てはめる。
筆者個人が使っていて楽しい、爽快感を得られることができるのは以下のブキである。
* スパッタリー・クリア
* スプラスピナー
* オーバーフロッシャー
前衛、中衛、後衛に位置するブキだが、プレイしていて3つに共通している特徴が見られた。
- 持った瞬間から「このブキ使えるんじゃね?」と初見での手になじむ感覚
- 試し打ちを30分以上行っても苦にならない
- キル速が速い、塗りがある程度強い(盤面を整えやすい)
以上の条件が整っていると、個人的には愛着が沸くので、研究対象となり、負けることへのストレスは大幅に軽減される。
愛着とは何か
愛着を持っていないブキを使用することは徒労に等しい。
環境ブキ、強いとされているブキ、未開拓のブキの使用を試み、試合に負けたとする。
その際、「ブキへのモチベーション>試合に負けたストレス」の状態が持続できるならば、相棒ブキの仲間入りだ。
逆に、「試合に負けたストレス>ブキへのモチベーション」であるならば、とっとと手放そう。
特に環境=他人から強いと評価を得ているブキであれば、勝って当たり前のレベルでブキパワーが強いことが往々にしてある。
よって、負けた時は自身のスキル不足を直視することになる。
自分の弱さを認めることはストレスを発生させるが、成長の糧となるため通常は負け続けながら戦略やコツを習得していくことになる。
今使っているブキで負け続けるストレスに耐えることができるか?
答えがYESならば、それが愛着である。
学びとは何か
スプラトゥーン2の対戦用ステージには様々な地形が配置されているが、その意味を考えていくとブキごとの戦略に深みが増す。
短射程を使っている時には気にも留めなかったザトウマーケットの高台の塗れないブロックは、スピナーにとって盾の機能を持つ重要なファクターである。
バッテラストリートの使用目的が不明な木は、ジェットパックの高度を高く保つ重要なオブジェクトとなる。
配置されているステージのでっぱり一つでも多角的な目的でデザインされているので、愛着を持ったブキで勝とうと研究を進めるとそういったゲームの奥深さに気づくことができる。
小さな気づき、学びこそ成長であり、目先のランクや数値ではない部分で自身の内的動機付けによるウデマエアップを図ることがこのゲームの楽しみであると筆者は考えている。
所感
スプラトゥーン2の環境はほぼ固定となり、運営による刺激(環境の変化)でのモチベーションの維持は難しくなったかもしれない。
そういった外的動機付けに依存したプレイヤーが去っていくのは止めようがない。
しかし、まだスプラが好きで、楽しく遊ぶための方法を模索している人々には、自身の内的動機付けによりモチベーションを保って続けて欲しい。
次回は外的動機付けと内的動機付けについてもう少し詳細に言及する。